mixed Emotion
さんざん迷った挙句、


電話をかけてみることにした。

どうせ彼女がいるなら、期待も半減だし、


どういうつもりなのか尋ねてみるのもいい。


まぁ、ただの女好きという落ちだろうけど。


自分にいろいろ言い聞かせても、

かけるとなるとやっぱり緊張する。

彼は電話に出るだろうか。

まだ、あの彼女と一緒にいるかもしれない。

時計は9時を指したばかりだった。

チケットに書いてある番号を押してコールする直前、


電源ボタンを押した。

やっぱりやめよう。


修羅場はごめんだし。

私は携帯をベッドに放り投げてテレビを付けた。

投げ出された携帯は、枕元に置いてあるふわふわの白いくまさんに


見事直撃。


そういえば今日は純奈が歌番組に
出演する日だ。

「危ない危ない」

せかせかとチャンネルをまわす。


ウエディングドレスのような純白のワンピースを着て

純奈が歌いだすと同時に、


携帯が


鳴った。


あまりのタイミングの悪さにびっくりして

体をのけぞったが、

私はテレビの音量を下げて電話にでた。


「もしもし・・・」


「俺だけど・・・ゆり?」



聞き覚えのある



声がした。
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