mixed Emotion
待ち合わせ場所に着くと、

理香ちゃんと見たことのない男の人がいたので、

少したじろいだ。

理香ちゃんが無表情で首を横に振ると、

男の人は去っていった。
「あっゆり。」

何事もなかったように私に笑顔をむける。

理香ちゃんほど美人だと、

ナンパされることにも慣れているんだろうなぁ。

今日の理香ちゃんは、グレーのギャザーが着いたキャミソールに、

黒いピタっとしたジーンズを履いていた。

背中まで伸びている髪を首の横から流すように一つに束ね、

制服の時よりも大人っぽい。


「美玖、遅いわねぇ」


「遅いねぇ」


開いているベンチに腰をかけ、

昨日のドラマはどうだったとか他愛のない話をしながら

美玖を待つ。


天気のいい日曜日の渋谷は、

思いの外混雑していた。
髪の毛を緑色に染めた人や、

お人形さんのような格好をした人が

目の前を通り過ぎていく。

あの全身ブランド物に
包まれた女性が連れているプードルは、

大きな星柄の服を着せてもらって、

私より渋谷に馴染んでいそうだ。


つかさ君の私服ってどんな服装だろう。


全然想像つかないけど、
きっと制服より大人っぽく見えて


私はまた、ちょっぴり落ち込むんだろう



「そんなにつかさ君の事気になってるの?」
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