mixed Emotion
え?!どこ?!つかさ君いるの?



・・あっ・・・。



やっと気付いたつかさ君は、

王子様達の後ろでずっと
ターンテーブルをまわしていた。



何なんだろうこの感じ…。


鼓動が高鳴り


足が震えた。


大きなハットを深くかぶっていたので

全然顔が見えなかったけど、


小さなホールなので、

実は結構な至近距離に、彼はいたのだ。


グレーのカーディガンの中には白いシャツがほんの少しだけ覗いていて、
カーキ色のゆるいズボンを履き、

子気味良くリズムに乗りながら


レコードを回している。


もっと、近くで見たいかも・・・



私の気持ちが届いたのよか、

タイミング良く王子様は
つかさ君の方へ歩み寄っていった。


「DJ、つかさ!!」


つかさ君はスポットライトが浴びせられ、

王子様に肩を組まれると
客席の方へ顔を上げて笑顔を作る。

動かす手が早くなり、

彼は単独でスクラッチを披露し始めた。
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