mixed Emotion
ライブは大盛況で、
クラブを出ると

渋谷の空は真っ暗になっていた。

「これから打ち上げあるけど、ゆり達も来るよね?」

テンションが上がったままのスピッツは

なれなれしく私の頭にポンと手を置いて

顔を覗いてきた。


時計の針は惜しみなく、8時を知らせている。

明日は学校もないし、参加したい。

だけどママの顔色と
彼女の存在が脳裏をかすめて


即答できない。


「今日ぐらい、いいんじゃない?」


理香ちゃんの誘惑に負けて、
私は少し罪悪感を背負いなが、

2人について行くことにした。

ライブの間ずっと端っこでドリンクを飲んでいた理香ちゃんは、


帰りたかったんじゃないのだろうか。


「理香ちゃん、私のためだったら、帰ってもいいよ?」


「んーん、私も章吾にちょっと、興味が湧いたの」


小声で話す照れた理香ちゃんの顔は珍しく、


普通の女の子の顔をしていた。
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