mixed Emotion
一人さみしくもやしをつついていると、

スピッツが気にかけてくれたのか、


「手品みしてあげる!」

得意気にテーブルに置いてあったマッチ箱を手に取り、


ごそごそと右袖に隠した。


「今こっち側に箱はありますが・・・」


スピッツは袖を振って、
呪文に思わせたいらしい意味不明なおまじないを
唱えている。




「それ左側にももう1個入ってるじゃん。」



答えたのは私じゃなくて
理香ちゃん…


でもなくて



「つかさ君・・・」



だった。


突然現れた彼は


私とスピッツの間に割って入って、


私の頭をくしゃっとなでてこう言った。



「ゆり、まだ帰らなくていいの?」
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