mixed Emotion
しばらくの沈黙の後、

「はぁ〜、助かったぁ」

気の抜けた声。


「ごめんねゆり、なんか最近私つけられてるみたいなの。」

「え?」


「怖くて振り向けないんだけど、いっつも同じ足跡がするの。」


理香ちゃんは自分が怯えているというよりも、

怪奇話でもするかのような話し方をするので、


「ちょっと〜やめてよ〜」

私は情けない声を出す。

「だから夜は外出てなかったんだけど、

最近昼間まで気配がして、最悪だよ。」

理香ちゃんの話方は普通に戻っていた。

「大丈夫?」

「うん、もう家着いたから、ありがとう!」

私は電話を切った。

理香ちゃんなら、ストーカー被害もありえる。


警察に言った方がいいんじゃ・・・。

いや、でも理香ちゃんは嫌がりそうだしな。


ふと王子様の顔が浮かんだ。


彼なら助けてくれるかも!
< 46 / 212 >

この作品をシェア

pagetop