mixed Emotion
別段興味はなかったが何の気なしに尋ねると、

「神崎さん家でお茶してくるの」

と何の気ない答えが返ってきた。

神崎さんとは私の小学校時代のクラスメイトだ。
控えめな女の子でいつも休み時間には上手に絵を描いていた。

私は美術に関しては残念な才能しか持ち合わせていなかったため、親しくなることはなかったが、何度か席が近いこともあり、休んだ次の日には自らノートを見せてくれる、
優しい女の子だった。

保護者同士はPTAの役員会で、仲良くなったらしい。

車で行けば駅には5分くらいで到着する。

「晩御飯はいらないの?」

「うん、多分。」

私は曖昧な返事をして車を降りた。
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