mixed Emotion
「ああ、つかさに聞いたよ。ま、だいたい犯人の検討はついてるけどね。」

彼は思い出したかのように顔をしかめた。

「えっ誰なの?」

私には検討もつかない。

「…昔は俺の、ストーカーだった子。」

あぁ、なるほど。

犯人は女の子という訳か。

彼の姿からはその考えを容易に受け入れられる感じがした。


「でも心配しないで。理香は絶対俺が守るから!」

きっぱりと言い切った王子様の言葉に迷いはなかった。
こう男前だとセリフも決まるなぁ。

私もそんなこと、つかさ君から言われてみたい・・・。


理香ちゃんの恋愛が上手くいきそうでも嫉妬心が湧かないのは、きっと美玖よりも、まだ仲良くなって日が浅いから。


いや…違うな…。


きっと本当の気持ちは、王子様と仲良くしてくれれば、つかさ君ともっと、関われそうだからだ。

我ながら、腹黒いなぁ私。

いつからこんな風になってしまったんだろう。


「でもそう言ったらつかさは・・・」

「何?」

「いや・・・、おまえすごいなって半分あきれられたよ。」

私はつかさ君の曇った顔を思い出した。

「あいつ妙に冷めてるからなぁ。」
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