mixed Emotion
「浴衣いいね。」

慣れない下駄をカランコロンと鳴らしてつかさくんの斜め後ろを歩く。

会うなり、淡い紫色の浴衣に赤い帯を締めている私を見て、そう言ってくれたつかさ君に、私は嬉しくなって自分から手をつないだ。

本当は髪の色にも触れてほしかったけど、まぁよしとしよう。

今日のつかさ君は丸首の黒いTシャツに袖無しの柄が入ったパーカーを着て、深い青色のジーンズ。

手首に皮のブレスレットを巻いて、この前より気合いが入ってるように見えるのは、勝手な思い込みなのだろうか。

日に日に積極的になっていく私を、つかさ君はどう思っているだろう。

握った手を離すことなく、彼は歩き出した。

定番のくじ引きやヨーヨー吊りなどの屋台が花火の舞台を盛り上げている。

花火が打ち上げられる時間帯にはまだ少しはやいので、2人はフランクフルトや、から揚げなどの食べ物を買い、お腹を満たした。
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