15の夜はティラミス・ガールズと共に
 -さらに、三日-

 
 その日は、殊に霧が立ち込めていた。

 急に冷えた大気に飽和した水蒸気は溢れ出し、濃い霧を作っていたのだ。
 
 少年の憂鬱も、老人の招死も、蔑ろにして秋は確実に深まっている。

 
 そんな霧の中から、ある老人が現れる。もちろん老人とは田岡ではない。なぜなら彼にはそんな積極性は残されていないからだ。

 
 老人はある高速道路の高架下に差し掛かり、その健脚を止めた。
 「あっ!」と、老人は叫んだ。
 
 巨大なコンクリートの四角柱の足に、寿と双子による落書きがあったのだ。
  
 「またやられた!」
 老人は爽やかに、頭を抱えた。
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