１５の夜はティラミス・ガールズと共に

　その日の正午、その健脚を誇る老人は仲間を引き連れて田岡邸の前にいた。


　田岡邸のチャイムが鳴った。

　もちろん田岡は最初、インターフォンの受話器などに意識をやる事はなかった。田岡は暫く停止していただけだ。

　けれど、チャイムの響きがいつものそれとは違う事を察知すると、気だるそうに受話器に手を伸ばした。不思議と、そうするべきであるように、思えたのだ。

　「あー、田岡さん。我々、自治会のモンですが…」
　
　田岡が「はい」と発音するより先に、老人達の代表者が口を開いた。彼は田岡の発言など何も期待しない、というように喋り続けた。