15の夜はティラミス・ガールズと共に
 田岡は、“15歳の少年が感じるような無力感”に打ちひしがれていた。


 「田岡さん、聞いているのかね?」
 別の老人が堪りかねたか、少しだけ声を荒げる。


 「ええ」
 田岡は油の代わりに唾をゴクリと飲み、ようやく雑踏の世界に聞き取れる声をひねり出した。錆び付いた喉は、ギギィと軋んだ音を出している。


 「……で、手伝ってくれないかな?」

 「どう? 少しお日様浴びましょうよ」


 
 また直ぐに汚される町を綺麗にして何になるというのだろう?

 ……しかし、そうではない。

 世界では、
 脚本などではなく、このようにして人々は心を温めあっていたのだ。






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