15の夜はティラミス・ガールズと共に
「はいカット! いただきましたぁ!」という言葉を合図に形式的な拍手が巻き起こった。
忙しく動きだす、スタッフ達。
セットを移動させようとする美術班を見て、田岡は足早にディレクターに駆け寄った。
「今のシーン、もっと内心にある…そうだな、悪気みたいなのを出した方がいいんじゃないかな?」田岡はリテイクを訴えていた。「人を殺して罪の意識を感じない人間ではないはずだよ。本からすれば」
「何言ってるんです、トシさん。十分、名演技でしたよ!」田岡より年下のディレクターは馴れ馴れしく彼の肩を叩いた。そしてまるで、彼を追い返すように、周囲に拍手を求めるタイプの拍手をした。ディレクターに促され、周囲から拍手が巻き起こる。
「はい、お疲れ様です!」と、ディレクターが声を大にすれば、「お疲れです!」と、一同が言う。
「……ありがとう」田岡は退散する他なかった。
忙しく動きだす、スタッフ達。
セットを移動させようとする美術班を見て、田岡は足早にディレクターに駆け寄った。
「今のシーン、もっと内心にある…そうだな、悪気みたいなのを出した方がいいんじゃないかな?」田岡はリテイクを訴えていた。「人を殺して罪の意識を感じない人間ではないはずだよ。本からすれば」
「何言ってるんです、トシさん。十分、名演技でしたよ!」田岡より年下のディレクターは馴れ馴れしく彼の肩を叩いた。そしてまるで、彼を追い返すように、周囲に拍手を求めるタイプの拍手をした。ディレクターに促され、周囲から拍手が巻き起こる。
「はい、お疲れ様です!」と、ディレクターが声を大にすれば、「お疲れです!」と、一同が言う。
「……ありがとう」田岡は退散する他なかった。