15の夜はティラミス・ガールズと共に
 そして、何も言えぬまま、ただ、寿の肩に手を置いた。

 「………」

 涙は見えなかった。
 しかし、寿が俯いた顔をゆっくりと上げると、目は何かをすがるように綾を捉えた。

 「……お前、きれいだな」

 
 「え?」


 「お前、きれいだよ」
 
 寿は恥ずかし紛れに微笑み、目を伏せた。
 
 「白状すると、ガキの時からそう思ってた」

 寿の突然の告白に、二人の中の破滅的な思索の捕縛は解かれ、変わりに少年と少女の瑞々しい交流が再開する。
 
 「と、突然、そんな…」

 綾は言うまでも無く、頬を染めた。

 
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