15の夜はティラミス・ガールズと共に
 しかし綾はそうして動悸を早めておきながらも、少女ながら女というものが備える計略で次に続けた。
 
 「じゃ、じゃあさ、私の言う事なら聞いてくれるでしょ?」

 「ね、学校に行って。 朝待っててあげるから二人で学校に…」


 「そうさ、ずっと見つめていたかった。 いつの頃からだったか、こんな娘がお隣なんて、おれは世界一の幸せ者だと思うような日もあった」

 
 「だ、だから! また小学校の頃みたいに……」

 
 「でも駄目なんだ。今は一秒としてお前を見ていられないんだ。ガキの時はこうじゃなかった……」
 
 寿の目の高さには綾の膝があって、彼は無意識にそこから脛に続く骨格を頭の中でスケッチしていた。今の彼が正視できる少女は、こうした身体の末端でしかない。あとの部分はまるで太陽のように、一瞬しか正視する事が出来ないのだ。


 一方で、綾は心の中で泣き始めていた。

 (こんな告白なんて…ひどすぎるよ……)
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