15の夜はティラミス・ガールズと共に
 少年は最後まで、少女の胸に顔を埋める事は無かった。

 それは少年の律儀とプライドだったのだ。

 (俺はまだ、この娘に相応しい人間ではない…)と…。

 少年は美徳で衝動を殺し、少女の胸の20cm上空で雨を降らし続けたのだった。


 
 同時に…
 少女もまた、涙を流していた。
 
 少女は他の中学生が繰り広げる、ケータイ小説のような、もっと爽やかで煩悩な、瑞々しいジェット・コースターのような恋愛をしたかったのだ。

 
 (どうして…男の子は、こう、生きる事を悩むんだろう……)

 素直に愛を語って……身体を求めてくれれば……“はじめて”を捧げてもよい、と考えていたのに…。
 
 
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