15の夜はティラミス・ガールズと共に
…………
寿と綾は階下のリビングにいた。
綾は両足を揃えてソファに深く座り、寿はサイド・ボードに浅く座っていた。
まるで酷い情事に終わったカップルがするような気まずさの中で、二人は沈黙していた。
まぁ、それに近いものかもしれない。
夕立は去って、紫の空が夜までの僅かの隙間に抗っていた。
「…俺はいつにないぐらいマトモなんだ…」寿はどこを見るともしない視線のまま言った。「……さぁ、飲めよ」
二人は熱い紅茶を飲んだ。
何の味もしはしない、ただ熱いというだけの紅茶だ。
「俺は、元気に毎日学校へ通って皆勤賞を貰う同級生なんかより、ずっとマトモなんだ……」
「……神経は研ぎ澄まされて、…瞳孔は世界中の全ての風景を飲み込む…」