15の夜はティラミス・ガールズと共に
 「…鼓膜は虫の呼吸から街頭演説やゲリラライブに震えて…でも…でもな…」
 
 
 「でも?」

  
 「でも、それは全て…ポーズなんだ。俺達を騙す演舞なんだ。僕が何処にもいないんだ」

 
 「わからないよ」


 「これは誰かの夢なんだ」


 「わからない」


 「“僕ら”は決められた配役に従い演じてるんだよ。 な、そうじゃないか?」

 “僕ら”と、彼は言った。“俺”ではない。その作為はきっと救援信号なのだ。
 
 「わからない、知らない」
 だが……
 もちろん、少女にそれを受け止め光の下へ彼を導く力は無かった。

 「寿…。じゃあ私も嘘なの? 嘘だっていうの?」

< 46 / 111 >

この作品をシェア

pagetop