15の夜はティラミス・ガールズと共に
「だから…そう言っただろ…?」

 そんな強情の嘘が、嘘でなくなってしまうような闇が残陽を喰らった。

 まるで『千と千尋』で夜が迫るカットのように、闇は素早く二人の間に侵入した。


 「ねぇ…私はここにいるよ。ちゃんとここにいるよ」


 「…前は見えていたんだ、でも今は見えない。世界が“タフで図々しすぎる”んだ……」

 「だから…落書きなんてするの? 復讐?」


 「…知ってたんだ…?」

 そう、綾は知っていたのだ。彼が『落書き師』として夜な夜なコンクリートのキャンパスに向かっていることを。


 
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