15の夜はティラミス・ガールズと共に
「聞いたの。 友達の彼氏が不良グループで」
「…そう」
「それに最近、友達の家に泊まりに行くって、オバサンのこと騙してるでしょ? 夜中に落書きしに行ってたんだね」
二人は淡々と話していた。ある種の一線を越えた、無感情だった。明王から菩薩へ至るように、人は感情を抱えすぎると無感情になるのだろう。
「……お前は『それは分かってもらいたいからだ』って言うんだろうな。でもそれは、違うん……
「いえ、そうよ」
綾はここばかりは彼の台詞を上書きするほどに即答した。
「……」
「………そうなのかもしれない」
無音を殺すためだけに着けられたテレビは、ひどく陽気に「人気アイドル・グループ、『フォーミュラー』の早乙女光さん主演の大人気ドラマ『刑事(デカ)ヒーローズ』! これから見たいという人のためにこれまでの粗筋を…」と独り言を言っていた。
「…そう」
「それに最近、友達の家に泊まりに行くって、オバサンのこと騙してるでしょ? 夜中に落書きしに行ってたんだね」
二人は淡々と話していた。ある種の一線を越えた、無感情だった。明王から菩薩へ至るように、人は感情を抱えすぎると無感情になるのだろう。
「……お前は『それは分かってもらいたいからだ』って言うんだろうな。でもそれは、違うん……
「いえ、そうよ」
綾はここばかりは彼の台詞を上書きするほどに即答した。
「……」
「………そうなのかもしれない」
無音を殺すためだけに着けられたテレビは、ひどく陽気に「人気アイドル・グループ、『フォーミュラー』の早乙女光さん主演の大人気ドラマ『刑事(デカ)ヒーローズ』! これから見たいという人のためにこれまでの粗筋を…」と独り言を言っていた。