15の夜はティラミス・ガールズと共に
 寿は首を振って、人差指を退けた。

 あははは、と双子は声を合わせて笑った。

 
 「言いたい事は分かる…」寿は声のトーンを落とす。「でも、やっぱり日々を満足してる人間の方が優れてるんじゃないか、周りを笑わせられる陽気な人間の方が優れてるんじゃないか…そう思うんだ……」


 『そうかなぁ~?』双子は真摯に聞き入れずに、楽しそうに笑っている。

 
 「そうさ!」だから、寿の声は荒くなる。「俺は誰かを傷つける事しか出来ない…。一方的に甘える事しかできない……。幸せになんかしてやれない……。」

 
 寿の脳裏には、多分、夕方の綾との遣り取りがあったに違いない。

 
 双子もそれを察知したのだろう。

 (まぁ確かに、この子の彼女は大変だ……)と一方では苦笑しながら、双子は彼を励ましてやった。
< 58 / 111 >

この作品をシェア

pagetop