15の夜はティラミス・ガールズと共に
 ワゴン車から、五人が次々に降車する。
 
 まず降りたのは、双子姉妹である。
 「うへぇー! ここに描くの!?」
 「100号の何倍あるかな?」
 暗がりで立ち位置を換えられたら、もうどっちがどっちだか分からない。
 多分、前者が美幸で、後者が智美…だろうか?
 
 次に降りたのは清田と沢北で、そそくさとワゴンの裏に回るとトランクから“仕事”に必要な道具類を取り出す。
 清田は脚立を担ぎ出し、沢北は数種類のペンキを次々にコンクリート壁の前に並べていく。
 
 「お前らも、手伝えよ」と、清田は10家庭分ぐらいの懐中電灯を取り出しながら双子に不平を言うが彼女達は華麗に無視し、加勢を求めて沢北を見ても、沢北は「ぬゎんでも、ぬゎいような事が~♪」と鼻歌を歌っているので、清田は諦めるほかなかった。

 「ったく、どいつもこいつも…。おい!さっさと降りろよ」清田は腹いせに最年少の寿に吹っ掛ける。「やれやれ、ビビッてんじゃねぇだろうよ?」


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