15の夜はティラミス・ガールズと共に
 寿と双子、もとい『ティラミス・ガールズ』は一頻り笑い合った。
 
 そこへ、見張り役の清田が現れた。

 「ここの“キャンパス”周辺には、全っっく人気無いぜ。この時間。見張り役も退屈だ」

 「…いつも退屈してるだろ?」
 寿は、すぐさまいつものクールを取り戻し、チクリと厭味を言った。

 「まぁな」と、清田は笑った。19歳の彼からすれば、気心の知れた15歳の悪態など取るに足らないワケである。“正常な15歳とは”、一方で『何にでもケチを付けたくなる年頃』であるべきだからだ。

 「おいおい、今日こそは完成させてくれよ」
 清田は缶コーヒーのプルトップを引きながら言った。
 「熱チチ…」
 清田は未完成の絵を見ながらコーヒーを美味そうに啜った。
 
 九月とはいえ、深夜となれば少し肌寒い。特に、今日はなおさらだ。
 
 
 「あ、自分だけズルイ」

 「一生懸命やってるじゃん」
 
 双子は見事なタイミングで重ねて抗議する。

 
 「えぇ~、つってもさ、もう完成じゃないの?」
 そんな遣り取りを聞きつけて、今度は、もう一人の見張り、沢北も現れた。
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