15の夜はティラミス・ガールズと共に
 「……やれやれ」寿は首を振った。この絵を完成だと言った沢北に、芸術家の端くれとして、少しばかり憤りを覚えたのだ。「サルは黙って見張りをしてろ……」

 「まだ完成してないの!」

 
 「そうかぁ?」
 沢北は一歩下がって絵の全景を見直す。


 「……これは清田のいうように犯罪だ」
 寿は沢北の横に立って、同じく絵の全景を見る。
 「これは人の心を荒ませる罪を孕んだ、ただの落書きだ」


 「いうね」
 双子は嬉しそうだ。

 「…そうさ。そんな作品ばかりが世界を彩るっていうから、俺は引き剥がされてしまうんじゃないか。徐々に、徐々に」


 「かぁー! そんなのはどうでもいいぜ!」
 清田は頭を振った。
 「グジャグジャ言ってないで、今日中に…、っていうか明朝の五時…、そうさ、あと三時間で完成させてくれよ。あと三時間!」
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