15の夜はティラミス・ガールズと共に
 「ビビッてんじゃねぇだろうよ?」

 やれやれ、と首を振って寿は降りた。
 「どんな絵にしようか、考えてただけだ…」

 『どんな絵!?』と、双子が声を合わせて寿に擦り寄る。


「あんまり大きな声出すな」と、清田は口の前に人差指を立てる。その対応を見る限り、この不良青年が一応は、この奇妙な5人のリーダー的な存在らしい。

 双子は今度は清田に擦り寄った。
 どうやら、話をする相手の目の前に行って、目を覗き込まないと気が済まない、という性格らしい。彼女達の動きはラブラドール・レトリバーの仔犬を想像させる。

 「ねぇ、バレたらマズいのね」と、双子のどちらが言った。

 「当たり前だろ?」清田は恥ずかしそうにぶっきら棒に答える。
 
 「ねぇ、あなた幾つ?」と、双子のどちらかが言った。こうして脈絡の合わない唐突を投げかけるのも彼女達の得意とする所のようだ。

 「は? 19だけど…」
 
 双子は顔を見合わせた。その沈黙には、しかしクスクスという笑いがある。
 
 
 「………。な、なんだよ!?」清田は溜まらず言った。

 『暇ねぇ』と、双子は声を合わせた。


 やれやれ、と寿は首を振る。
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