15の夜はティラミス・ガールズと共に
 ………

 「田岡さん…」
 
 医師は現れるなり、意味も無く田岡の名を呟いた。その意味深で、意図的に同情を顕現させようとする声色は、言うまでも無く“告知”だった。
 
 やれやれ…。
 こんな所にまで、トレンディ・ドラマの弊害が生じているのか。

 「まったく…」田岡は首を振った。「やめてください、先生。何もあなたが気に病む事はないじゃあないですか…?」
 
 田岡は少し憤慨していた。
 ホンモノの医者なら医者らしく、誇りを持って素人の真似事などせずに、自分の思う最善の方法で告知すべきなのだ。
 
 いったい人の人生において、ドラマの真似ゴトが有用さを持つ事などあるのだろうか? 全て作り物じゃないか…。
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