15の夜はティラミス・ガールズと共に
 「どういう事です?」

 
 「いや…。なんでもない」

 
 「そうですか…。それで…ご家族の方は…?」


 あぁ、そういえば、こうした死の宣告をする医者の役も何回かこなした。
 だから、この“仕打ち”は、自業自得なのだ……。


 「いないよ」


 「御都合が宜しい日は?」


 「ねぇ、やめないか?」田岡は年下と思われる医師の禿げ上がった頭を見ながら言った。「キミだって暇じゃあないだろう?」


 医師は溜息を吐いて言った。「……ええ」
 ペンで禿げた頭を掻いた。
 
 責任感のある、素敵な禿げ方だった。
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