15の夜はティラミス・ガールズと共に
-- 十日後 --
9月も下旬に入り、急に寒くなってきた。特段、今日は寒い。
それでも、田岡邸の門前に群がる芸能記者達の中には、半袖の者もいた。
「えー、私は今、俳優の田岡寿男さんのご自宅の前にいます」あるリポーターはスヌーピーのTシャツを着たカメラマンに向かって話し始めた。「ご覧下さい。人気俳優の突然の失踪ということで、こうして大変多くの取材陣が集まっております」
そう、田岡はあの癌の告知を受けた日から、何の説明も無く外部との連絡を断ったのだった。もちろん、撮影中の例の大人気ドラマ『刑事ヒーローズ』もである。
となれば、ゴシップ好きのマスコミ連中は、瀕死の象に群がるハゲタカの如く、無遠慮に卑小に群がって来るものだ。
「あっ! 田岡さんです!」
と、リポーターは叫んだ。スヌーピーは彼の視線へと即座にカメラを向ける。