15の夜はティラミス・ガールズと共に
 「…さて」と、清田は“仕事”の説明を始めた。「まず第一に、これからする事は犯罪行為である。しかぁし! 世間的に言えばこれは『落書き』だが、俺はこれからする事が『アート』である事を確信して止まない! そして諸君の…」

 「ゴタクはいい…」と、これはもちろん寿である。

 「うるせぇなぁ。カタチだよ、カタチ!」清田は地団駄を踏んだ。「…ったく! えー、で。リーダーの条件は、まず当然ながらウチの名前を入れること!」

 「なんだったっけ?」と、双子の片方が言う。たぶん、声の調子からいってこちらが美幸だろう。空気を読まないのも彼女の特徴だ。

 「『シャーク団』。 かっこいいけど、何で?」と、こちらが智美。

 「ウェスト・サイド・ストーリーのファンなんだろ?『シャーク団』っていうギャングが出てくる」

 「へぇー」と、清田は手でガッテンのカタチを作る。ともかく、カタチに拘る男なのだろう。

 「知らなかったの?清田?」

 「つ、次だ!」清田は体裁を整えるため、咳払いをする。「ゴホン! えー、第二には、斬新なモノにすること! そして第三には、巨大なものにすること! せっかく脚立まで用意したんだ、しっかり頼むぜ! そして…」
< 9 / 111 >

この作品をシェア

pagetop