15の夜はティラミス・ガールズと共に
 寿はつり銭を受け取りながら「いいんだ。どうせ親から貰った金だ」と言う。

 彼は加えて「二人と話せてよかった」と言おうとしたが、思春期のプライドが音を立ててそれを遮った。

 
 「…ありがとうございました」
 と、ウェイターはペコリと頭を下げた。

 
 
 外は白んでいる。
 
 寿が先頭に立ってドアノブに手をかけたとき、「……ねぇ、そうなの?」と、何かを考えて込んでいた美幸が言った。

 
 「え? 何が?」
 寿はドアに手をかけたまま振り向いた。


 「だからさぁ、あまり長く一緒にいるといけない、っていうの」
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