15の夜はティラミス・ガールズと共に
 田岡はソファに座ったまま微動だにしない。


 テレビでは、時代モノの映画の中でチャンバラが演じられている。

 
 やがて反応が無いとみると来訪者は声を大に言った。

 「今日も来ました! 国立癌センターの者ですが! 田岡さん!? いるんでしょう!?」

 白黒のその映画のDVDには、田岡寿太郎の文字がある。そうそれは、今の田岡とほぼ同じ年で死んだ、彼の父親の主演作品である。


 「…ねぇ、田岡さん、いい加減にしてくださいよ、強情張らないで!」
 癌センターの職員を名乗る者は続けた。
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