パクり女とあたし
「秘密って、何それ。ヒドイなぁ!」
怒っちゃダメ。
あたしは平然を装った。
「だって秘密は秘密なんだもん!プライバシーだよー」
得意げにそう言って席についた愛奈は、香水を取り出した。
まただ……
また、あたしとおんなじ……
あ、でもまだ愛奈に香水を見せた事は一度もない……
愛奈の前で香水を付けた事もないし……。
これは偶然か……。
「あ!宮野さーん!香水?」
さっきの3人組が愛奈の席によってきた。
「うん!そうだよ!」
「へぇ、どんなにおい?」
「こんなの!」
愛奈は香水を1回ふって見せた。
いい香りがする。
まだたっぷり入った新品の香水。
買ったばっかりかな?
「うわぁ!いいにおい!っていうか宮野さんが香水付けるなんて意外!あ、愛奈って呼んでもいい?」
「いいよぉ!よろしくね!」
愛奈はキラキラした笑顔をみせた。
あたしと仲良くなった時と同じだなあ……。
「あ!教科書借りなきゃ!1組ついてきて!」
「じゃあね!愛奈っ。」
「うん!」
3人組がにこにこしながら教室を出ていく様子を、愛奈は嬉しそうに眺めている。