パクり女とあたし

奪われたもの

 


 キーンコーン……


 チャイムの音と同時に学校中がざわめきだした。


 この時が来た……。


 あたしは平然を保って2組に向かった。

 よしっ……

 「まゆっ……」

 「まぁゆぅ~~~っ!」

 隣で誰かがあたしの声を遮った。

 愛奈だ。


 愛奈に気付いた麻友が、ニコニコしてこっちに近づいてくる。


 「愛奈~!なあに?」

 「麻友に手紙書いたんだぁ~!」

 「きや~!!ありがとぉ!あたしも明日書いてくるぅ」

 「え?本当?うっそぉ~!まじ嬉しいーっ!麻友みたいな可愛い子から手紙貰えるなんてっ!」


 「あははっ!愛奈の方が可愛いじゃん!」

 「そうかなぁー??私可愛くないよぉ!じゃ、ばいばぁい!」


 「ばいばぁーいっ!」



 キャーキャー騒ぐ2人を見てるとすごく心が締め付けられている気がした。



 あたしなんかに見向きもしない麻友。


 あたしなんかが親友より愛奈の方が良いの……?


 愛奈の方が、可愛いし優しいもんね。


 あたしなんか麻友の親友に向いてないよね……。


 なんだか、すごく落ち込むな……。


 
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