たった一つの初恋
あの頃は…

「…ッ…うぇ…ひっ…」

近所の近くの悪がき坊主にいじめられて泣いてた今日。

「…大丈夫?」

声をかけられてぐしゃぐしゃな顔を見上げると一人の男の子が私の目の前に立っている。――見た事がない男の子だ。

「…だぁれ?」

「僕? 僕の名前は緒方 叶多(おがた かなた)だよ。昨日ここに引っ越してきたんだ。泣いてるからどうしたのかと思って…」

「悪がき坊主にいじめられたの…。悲しくて悲しくて泣いちゃった。叶多君ありがとう。」

「ううん…気にしな…」

叶多君の言葉を遮るように私のお母さんが私を呼んだ。
「帰るわよ…真波!」
「あ…うん。ぢゃあまたね、叶多君♪」

「うん。またね。」

手を振って別れをつげた。
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