たった一つの初恋
家に着くとお母さんやお父さんはなぜだか慌ただしい。
「ただいまぁ…どうしたの? お父さんとお母さん」
「今日は入学祝で今から食べに行くから親戚らを電話で伝えてるんだ。」
「そうなのよ。親戚の皆とワイワイした方が楽しいでしょ? 真波の入学祝だから遠慮しなくて良いからね?」
「うっ…うん…。わかった…。服着替えてくるね」
ドタバタと騒いでる2人の横を横切って2階へと上がった。
自分の部屋へ入るとまだ新品の匂いがただよわせる。
「あ…和喜…めちゃくちゃ喜んでるね?」
廊下の上でバッタリ会った弟の和喜(かずき)が満面の笑顔で宿題をしてる。
「だってさ~今から食べに行くんだぜ? そりゃあ嬉しいに決まってんぢゃん。お姉ちゃんは嬉しくねぇの?」
和喜は中学3年生。年子だ。背は…当たり前に私よりでかい。私、165だもの。和喜は確か…170だったかな…?
「私も嬉しいよ? けど…」