もえみみ。
さっきまで歩いていた大通りから左に曲がった、小道に入る。
日も暮れてきて、薄暗い。
街灯の光が、輝きだしている。
――ちょっと、怖いかも。
なんか視線もより強く感じるような……
…いやいやいやいや。
なんか思考が普段より八割増しくらいで乙女になってない?わたし。
そんな事ない。
視線なんて――ないよ。
やっぱ、慣れないカッコ――
「君、かわいいね」
びくっ!
反射的に後ろを振り返った。
さっき振り返った時とは違う事――
それは、
普段見慣れた道に、わたしの方をみてニヤニヤ気持ち悪く笑う
男の人がいたこと。