アザレアの花束を
俺と彼女
「……獲物を見つけたようだな」
洋館に帰った俺は
何の前触れも無く玲さんに言われた。
俺はしばらくして答えた。
「“獲物”じゃない、です」
ソファーに腰掛けて、
気だるげに俺を見つめる玲さん。
その覚めた目が
“馬鹿言うな”
と言っている。
そんな玲さんに怯んでしまう俺。
俺は何も答えず
そのままうつむいた。
彼はソファーから立ち上がり俺の頭に手を置いた。
「人間との関係なんて、
狩る者と狩られる者。
それ以上の以下でもない」
そのときの俺には
彼の言う言葉の意味がわからなかった。