アザレアの花束を


だって、こんなに可愛い束縛に

俺は何度だって愛しく思ってしまう。



冷静?


知るかよ、そんなもん。



「ねえ、呂依」



愛は俺の手先を少しだけつかみ、
上目遣いをして俺を見た。



俺はドキッとしながらも、
首を傾げた。



「呂依は好きな人、いるの?」



俺はそっと微笑む。


すると、彼女は続けて言う。



「それって、

今、呂依のすぐそばにいるでしょう?」



ゆっくりとした口調で、
愛は自信有り気な笑顔で俺に語りかける。




「呂依は、私が好きでしょう?」




ほら、無理なんだって。



俺に“冷静になれ”なんて。


彼女がいる限り、

冷静になんて無理なんだって。



未熟でいい。


人間の血も吸わない。



たとえ、
太陽の下で会えないとしても


俺らの気持ちに
問題は生じないだろう?


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