アザレアの花束を
真っ白な吸血鬼
“呂依(ロイ)”
それが俺の名前だった。
気がついたら夜の闇にいて
そこで偶然拾われた男から名前を貰った。
俺はその男が吸血鬼だと知った。
俺も吸血鬼だと知った。
「お前の名前は“呂依”だ」
夜の闇で男は言った。
冷めた声だった。
「呂依……?」
俺は繰り返した。
男は頷く。
「そうだ」
「アンタの名前は?」
「……玲(レイ)だ」
冷めた男だった。
もっと詳しく言えば淡白。
だけど“白”という言葉を使うのは何か違うような気がする。