アザレアの花束を


「あっ、でも家を継いでもらいたいとかじゃなくて……。

とりあえず、親に会って諦めさせて欲しいの」



もう一度、彼女はお願い、と言う。



“お見合い”?


俺が?


いいの?



「俺でいいの?」



彼女は唖然として、俺を見る。



「呂依しかいないでしょ?」



その一言で救われた気がした。



そうだ。

俺は愛の“彼氏”だ。


それなのに、
何をためらっているんだ?



「……」


「ご、ごめん。やっぱり無理かな……」



黙ったままの俺を見て、

気まずそうに話す愛。



「……行くよ、愛の家」



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