アザレアの花束を


ーーー



「呂依、最近よく街に出かけているらしいな」



洋館のホールでくつろいでいた俺に、玲さんは言う。


一瞬、パッと愛の顔が浮かび上がった。



「……どうでもいいじゃないですか」



俺は唇を尖らせて言った。


すると、
仕方なさそうにため息をついた玲さんは



「気を付けろよ」



そう言い残して、自室に戻っていった。



今日は、最近ずっと暇そうにしていた海さんが昨日から洋館にいない。


玲さんに聞きこうと思っていたが、
あんなことを言われたあとには言いづらかった。



“気を付けろ”?


何を?


俺にはまだ予測もつきそうにないよ。


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