アザレアの花束を
そうして、俺は日に当たらないように
日の当たる外の世界を窓越しに眺めていた。
日の当たる世界で愛と一緒に歩けたら、どれだけいいだろう、
そう思わない日はなかった。
眠ることのできないこの体で、
日の当たらない1日を過ごすのは、とても長く感じて。
これが吸血鬼の定め、
と海さんと玲さんは言うけれど
俺には少し厳しすぎる。
そうして何も起こることもなく、
2日が過ぎた。
夕方ごろ、
まだ日はでているが、俺は愛との約束の場所へ行こうと思ったころ。
服で体を覆った海さんが洋館に帰ってきた。
「あら、呂依もどこかへ出かけるの?」
帰ってきた海さんから、
かすかに香る血の匂い。
俺はひかえめに頷いて、
日に当たらないようにフードを深くかぶる。
そうして洋館を出ようとした、そのとき。
「……っ、待ちなさい」