アザレアの花束を
その場に座り込んで泣き崩れる彼女を見て、僕はその場を立ち去った。
あの人間の姿を見ていたくなかった。
零れる涙は、あまりにも綺麗で、
太陽に照らされる彼女はあまりにも儚くて。
日に溶けてしまった、
その呂依が彼女を守っているなんて。
いったい、どれくらい己の醜さを浮き彫りにされればいい?
呂依があの人間の少女が好きで、
あの人間の少女も呂依が好きで。
それだけで十分じゃないか。
吸血鬼だとか、人間だとか、どうでもいいから、
生きてて欲しかったんだよ――……。
想いがどれだけ純粋なのか、痛いくらいわかる。
吸血鬼には似合わないくらい、ね。
きっと、神は間違えたんだ。