アザレアの花束を
呂依が生まれるべきものを。
呂依には吸血鬼でも、人間でももったいない。
そう、例えるならば天使で。
できるなら、この地に足を着けて欲しくは無かった。
深くフードをかぶった僕は朝日を見る。
体中はマントで覆われているから、意識が飛んでいくことは無い。
その日は綺麗で、
キラキラと当たりに反射した光は汚れを知らない。
決して日の光を見ようともしない海だけど、きっと見たらこう呟くのだろう。
『呂依みたいね……』
そう、ひとつぶの涙を流して。
【Fin】