涙花‐tear flower‐【短編】
「ティア。」

「……。」

「……ティア?」


反応のないティアの顔をのぞき込むと、ティアは驚いて体を揺らした。


「あ、ゴメンね、ボーっとしてた。」


ここ最近、ティアに元気がない。

口数がへり、ボーっとしていることが多くなった。

そして何より……


「具合悪いんじゃない?」

「ううん、平気。ティアは元気だよ!」


そう言って笑顔を見せる。

けれど、それは以前の愛らしい笑顔とはかけ離れていた。

無理矢理に作られた笑顔は、見ているのも辛い。


「本当に……平気?」

「大丈夫だよ。フィルは心配性だなぁ。」


大丈夫。

そう言っていたティアだが、日に日に衰えていくのが目に見えてわかる。

それはまるで、枯れていく花のように……。




そして、運命の日がやってきた。
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