キミは許婚
「ったく。早く用意しろ」
聖は一応ベッドから降りたものの、ソファに腰掛けてあたしを見てくる。
「……用意しろって……聖が出てくれないとできないんだけど?」
「気にせず、着替えでもなんでもすればいいだろ。俺が見ててやるから」
「見てほしくありませんっ!!」
グイッと座り込んでいる聖の腕を引っ張り立たせると、そのままドアまで押して、廊下へ出した。
「面倒臭い奴だな……」
廊下に出された聖はボソッと呟いて舌打ちをしていた。