キミは許婚


あたしはドアからそっと顔を覗かせた。


ドアのすぐ隣で腕を組んで立っていた聖はあたしに気付き目を向ける。



「思った通り、まだパジャマか」


「だってまだ悩んでて……」



聖をつま先からてっぺんまで確認。


最初に会った時も、テレビで見た時も、スーツをバシッと着てたからそんな印象しかなかったけど……



「今日はジーパンにTシャツなんだ……」


「だからわざわざ、特別に、この俺が、お前に合わせてやったんだ」


「そ、そんなに強調しなくても……あ!」



顔を見て気付いた。
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