キミは許婚
聖は腕時計を確認して一息吐くと「それじゃ行くぞ」と言い、あたしを見ることもせず先を歩きだした。
あたしの家の間取りはもう把握済みらしい。
家から出る前に父と母にちゃっかり世間一般用の社長スマイルで挨拶も済ませた。
玄関を出ると足早に聖は門へ向かって歩き出す。
たぶん足早、という意識は聖にないんだろうけど、身長差がある上に股下が通常男性より長い聖。
自然と歩幅にかなりの差が生まれる。
あたしは半ば小走りになりながら聖の横へ並んだ。