キミは許婚


逸らしてしまいたい聖の目が、いつも以上に熱く語りかけてくれるからあたしは逸らせなくなった。



「お前はホント……すぐ強がるし、俺の言うことには反論してくる。

それに甘えようとしない。面倒な奴だ」


「……だから手放せばって……」


「だから手放せない。手放したらもう二度とお前から俺のとこに来ないだろ?」


「……」


「だからお前が一人で泣こうとしてる時は俺が傍にいてやる。

今も……恐いなら俺が傍にいてやる」




そう言って聖は強くあたしを引き寄せた。



元々距離なんかないから、聖の胸に顔をうずめる格好になった。
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