キミは許婚


聖の鼓動が耳に響く。



「お前のこと、紙切れ一枚で縛るんじゃない。心で縛りつけてやる」



情熱的な言葉に反して優しい声色。


あたたかい腕の中にいると恐怖心が薄れてくる。



その変わり……心拍数は半端ないけど。



心拍計なんて持ち合わせていない聖は、あたしの心拍がMAXを振り切っているのも知らずに、耳にかかる髪を掻きあげて口を近づけてくる。

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